サン都市計画社長・森口公晴のブログ

更新料訴訟について

3月8日付の日経新聞に「賃貸更新料」について次のような記事が掲載されていました。

昨年の大阪高裁の賃貸更新料についての2つの民事訴訟は、一方は借主、一方は家主が勝訴するという正反対の判決が出ました。借主が勝訴した訴訟では、一方的に借り主に不利な契約は消費者契約法違反で無効。この判決によって京都市内の賃貸物件は更新料無しの物件が増えつつあり、最高裁の判断如何を問わず今後更新料契約は徐々に減ってくるのではと結論付けています。

借主が勝訴した事案は賃料4万5千円のワンルームマンションで更新料が毎年10万円という契約でした。借り主は平成12年に契約し、6年3ヶ月間借りていた間計50万円の更新料を支払っていたというものでした。判決は消費者契約法施行後の40万円分の更新料は無効であり返還しろというものでした。首都圏の更新料のように2年毎に1ヶ月分程度という感覚からすると確かに更新料収入が賃料全体の16%をこえるというのは大きすぎるのではないかと思います。高裁も事案の特殊性を考慮しての判断ではないでしょうか。

元々更新料には①合意更新のための費用および②賃料の前払い的性格の部分さらに③大家さんが日々の管理費では賄えない修繕や設備の更新等に当てるための原資。といった意味合いがあります。借り主は法定更新ではその後の契約期間の保証はありませんので、6ヶ月前の大家さんからの解約予告によって原則として退去する必要が生じます。しかし、合意更新をしていれば、大家さんに正当事由があっても、借り主は原則として契約期間内は保証されます。

しかし、昨今の傾向として、諸外国の不動産賃貸市場において更新料や礼金といった商慣習がないことや日本の不動産賃貸市況の低迷等によって更新料を取らない物件の比率は徐々に増えています。最高裁の判断の有無を問わず、私もこの傾向はしばらく変わらないと思います。

2010.3.9

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