サン都市計画社長・森口公晴のブログ

2010年の相続税路線価の発表と中国の不動産事情について

国税庁は7月1日に平成22年の相続税路線価を発表しました。全国平均で前年比8%の下落。不動産ミニバブル崩壊が続いていると言われています。下落幅は住宅地より商業地の方がきつく、また都心部ほどきつくなっています。テナント不況による賃料下落が収益価格の下落に跳ね返っています。一方住宅市場、特にマンション市場はここ数年新規着工が手控えられている中で、住宅ローン減税拡充や贈与税の優遇措置、さらに見過ごせないのが中華圏の人々の一部購入も加わって在庫は減少しつつあり、優良立地については下げ止まり感が顕著です。ここで中国の不動産事情について概観してみます。

中国ではサブプライムショック以前は毎年15%~20%不動産価格が上昇し、サブプライム以降2008年は20~25%値下がりをしましたが、2009年急回復し(25%上昇)、今年に入り毎月5~8%の上昇し明らかなバブルのため、当局は優遇金利の撤廃や譲渡課税の強化等、不動産バブル抑止政策に転換しました。香港、台湾、シンガポールの不動産も同様にピークアウトしてもおかしくない状況で、収益不動産の平均利回りも3%前後と日本の収益不動産とは比べ物にならないぐらい高騰しています。

北京中心部の環状道路の内、2環路内の3LDKのマンションの平均価格は300万元、日本円で4000万円以上するようです。2環路内と山手線の内側とは共に60~65平方キロ、人口100万人前後と同等の規模と想定されます。つまり、北京中心部のマンション価格は東京都心部のマンション価格に概ね肩を並べるようになったといえます。

日本では中国の不動産バブルを~1990年の日本の不動産バブルになぞらえる向きがありますが、私はそうは思いません。強いて例えるとすれば、1973年の列島改造ブームとその後の不動産不況でしょうか。中国人の平均年収は日本の10分の1程度、中国のGDPはようやく日本に追い付いたところです。今後少なくとも10年程度は経済発展が続いていくものと想定されます。

日本はアジア・中華圏富裕層の流動性を呼び込むための成長戦略と市場開放が急務です。

日本の企業は現在でも間接金融に頼っており、銀行は未だに不動産担保ローンを基本としています。路線価や地価公示・基準地価格等の公的な土地価格が下がると、企業に対する融資は一層縮小してしまいます。

現在アジアの富裕層は日本の不動産に注目しています。

日本の不動産は低価格なだけでなく、地理的に近く、漢字が読め、治安や衛生環境に優れ、水や空気、緑、海、温泉等に恵まれ、建物の施工の質・管理も上等であり、魅力に溢れています。7月1日より中国人に対する観光ビザの発給条件が緩和されましたが、今後、投資移民ビザや技術移民ビザ等も解禁し、物だけでなく、人と金の交流もスムーズにする必要があると思います。そうすることでアジアの流動性の一部が日本の不動産市場に流れ、活性化され、日本経済にも好循環が生まれるのではないでしょうか。2010.7.4

代々木八幡・代々木公園・代々木上原の賃貸マンションならサン都市計画

WordPress Themes