サン都市計画社長・森口公晴のブログ

寺島実郎氏の講演を聴いて

干支歴では昨日(2/4)より己丑の新しい年となりました。
昨年後半以降、過剰流動性の崩壊による金融恐慌から実体経済の悪化へととどまるところを知らない状況ですが、今後の経済の処方箋については誰も明快な答えを持っていないのが実情です。
1月28日新宿ハイアットリージェンシーにて寺島実郎氏の講演がありました。「2009年への視座ーーー世界の潮流と日本の進路を考える」は大変勉強になりましたが、その中で興味深い数字がありましたので、以下に並べてみました。
<世界>
世界の株式時価総額2007年10月61.3兆ドル→2008年12月末32.4兆ドル
世界の金融資産2007年194兆ドル→2008年148兆ドル
サブプライムの規模1.5兆ドル(内延滞率15%程度)

<日本>
日本の1次産業就業人口対全人口比1965年24%→1980年10%→2007年4%
200万円以下の年収で働く人口対全労働人口比34%にあたる2204万人
勤労者家計可処分所得1997年→2007年の10年間で-11%の減少
日本企業の労働分配率1998年70%→2008年63%

日本の外貨準備高2008年末1.3兆ドル、中国1.9兆ドル、米国0.1兆ドル
日本の対外純資産2007年2.4兆ドル(17年連続世界一)、2位ドイツ1.0兆ドル
日本の個人金融資産1500兆円
日本の対米貿易比率2000年25.0%→2008年13.9%(アジア45.0%)

以上のことから言えることは、信用→実態、マネーゲーム→ものづくり(農業)、米国→アジアといったパラダイムの変化がみえてきます。お金のもつ公共的役割(レバレッジのような過剰流動性ではなく適度な流動性)についても議論がなされるべきだと思います。
シーソーは振れが大きいほど戻りも大きいものです。近い将来過度なインフレが起きることを警戒する必要もありそうです。

2009.2.5